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此れはこの世のことならず


後書き

+++まずは真面目に+++
 この作品は、とても楽しく書いていました。ここ数年で1番楽しい書物でした。
 そのためか、キャラクターに凄く愛着がわきました。蓮珠は何年も前からの付き合いの主人公達と同じくらいに大好きです。
 多分、私が苦しい状況で書いていたから、というのもあるのだとは思うんですが。賽の河原の子どもと一緒に癒してくれた蓮珠には本当に感謝です。にぱっと笑顔のこの子が主人公で本当に良かった。
 ですので、読んでくださった方が少しでも読んで楽しかった!このキャラクター好きっ、と思ってくださることがありましたら、とても嬉しいです。

+++ストーリー+++
 この話、ストーリー的にはどうやら凄く難しかったようで、「現代問題を追及した話」だとか、「仏教の思想を子どもに分かりやすく教えている話」だとか、色々なことを言われました。
 ですが、ただ思っていることを書いただけだった私は、そんなことさっぱり考えていませんでした。
 まず対象年齢を子どもではなく10代〜20代に設定していたので、古語などある程度文章的には難しい部分は作りましたが、話的には難しくしようと思ってなかったです。
 むしろ今回はちゃんとコメディーになった!とか思ってました、私(汗)。  仏教の思想については、入れようと思って入れたものは…多分、ないかと。
 関係ないですが、子どもに読ませる仏教を分かりやすく教える話なら迷わず宮沢賢治さんを選びます。『銀河鉄道の夜』とかっ!大人の方なら武田泰淳さんの『ひかりごけ』がいいんじゃないかなーと。

+++キャラクター+++
 キャラクター的には……た、たかむーが人気でした。誰に聞いてもたかむーは印象悪くなかったです。皆揃って「たかむー」ってあだ名が覚えやすいんだよーって言っていましたが、本当なのか言い訳なのか…(笑)S気質の男キャラって書くのも読むのも私は苦手なんですが、世間的には人気な分類ですよね。
 結城光流さんの『篁破幻草紙』等で小野篁は人気がさらに上がってファンが多いだろうので、最初出すのを物凄くためらいました。あの小野篁さんじゃないんだよ!この人たかむーって名前のただの気難しい人だよ!と逃げるためのあだ名だったりします。
 蓮珠は主人公だけど傍観者的位置に、と思って書いていました。どうして地蔵菩薩を選んだのかというと、ちっちゃな子でもお地蔵さんは分かるんじゃないかなーと思ったからです。時々それは道祖神だ…!と突っ込みたくなることありますが。なので、菩薩の中で最も親しみがあるんじゃないか、と思ったので選びました。作品を小難しくしていく原因の人物。
 その難しさを修正していく話の中和役の火生が大不人気でした(笑)教授にはオウム真理教の思考の持ち主だとか言われましたし、なんかウザイとかここまでする必要あるの?とか男に対してとった態度が最高に印象悪かったみたいです。彼の人間への態度は慈愛の精神から来るものなのですが、誰にも気付いてもらえず。猪系お馬鹿さんという目線のみで見られてしまったので、平謝りしました。本当書き方悪かったです、ごめんなさい火生。
 …でも自分も火生の名前をよく間違えていたりしました。「かしょう」なのに「ひしょう」とか、「ひせい(タイプではこっちで出していたので)」とか。だって覚えにく…本当、ごめんなさい。
+++舞台+++
 現代ファンタジーを書くなら、絶対に大好きな京都にしよう!と決めていました。
 作中に出てきた場所は、実際に京都にあります。でもって、書いた通りの現状だったりします。
 三十三間堂の明らかに朱色のペンキで塗りましたな柱もあまりの情緒の無さに泣けてくるんですが、何と言っても東寺は酷すぎます。
 市が周りの景観を全然考えてくれてないんですよね。お寺の前にパチンコ屋を開くなー!国道を作るなー!って一緒に行った友人と叫びました。もう、本当に何を考えているんだと。
 六道珍皇寺は景観は悪くないんですが、場所が場所ですからね…。そんなこと言ったら清水寺付近なんて歩けませんけど。あそこは元々墓場ですし。

***補足のネタばらし***
 出典を書いていなかったり、ネタとして使わせて頂いたものなどの説明を少しだけ。

  • 我、悪を滅す! ゆえに我あり!…ルネ・デカルトが自著『方法序説』で提唱した命題「我思う、ゆえに我あり」をもじったもの。
  • いや疑ひは人にあり、天に偽りなきものを…能の「羽衣」から天人の台詞。

  • 参考文献


    石川純一郎著,地蔵の世界,時事通信社

    山本健治著,現代語地獄めぐり『生法念処経』の小地獄128案内,三五館

    小松和彦,日本妖怪異聞録,講談社

    佐藤秀治,鬼の系譜,文芸社

    仏教説話体系編集委員会編,仏教説話大系20地獄と極楽,すずき出版

    吉田憲右,古都京都ミステリー旅千年の都の謎・ロマンを訪ねて,コスモブックス

    竹材俊則,新版京のお地蔵さん,京都新聞出版センター


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